おしりファン
まだわたしとロキオが付き合いたての頃の話だ。
仕事帰りに、彼がわたしの家にやってきた。
「ボディソープないって言ってたから買ってきたよ~」
薬局でボディソープを購入するという行為でさえ、もう嬉しくてたまらないらしい。
満面の笑みで紫色の小さな(彼が持つとだいたいのものは小さく見える)ボトルを見せる。
付き合いたてとはそういうものだ。
夜中でしかもシェアハウスだったこともあり、入浴はさっさと済ませたいね、ということで一緒にバスルームへ向かう。
わたしは洗面台でメイクを落とし、彼は先にシャワーを浴びている。
シャワー室は狭いので、彼1人が入るともういっぱいといった感じ。
メイクを落とし終えたわたしは暇になった。
隣からはシャーっと水の音が聞こえる。
わたしはこっそり、シャワー室のカーテンを開けてみた。
気づかれないよう、慎重に開けた。しかしその5秒後、すぐにばれた。わたしが思わず吹き出してしまったからだ。
「Hey, What are you doing?!」
水がしたたっているのでよく見えない様子。きょろきょろしながら何だ何だと叫んでいる。
カーテンをあけると、彼の背中が目に入った。そして視線は自然と下へ(変態的な意味でなく、それほど印象的だったので…)
わたしを吹き出させたのは、彼のおしりだった。
彼は肩幅がとても広い。元々の体格と、さらに昔スイミングのコーチをやっていたこともあり、日本にいたらわりと目立つくらいにはでかい。
そのどーんとインパクトのある肩から、シュ~っと下にいくにつれて小さくなっていき、おなかのところで少しふくらみを取り戻すも、またさらに小さく・・
そしてなんとも可愛らしいおしりがちょこん、とついていた。
ほんとうに控えめに「すみません、こんな僕で(小声)」と言わんばかりに。
その意外性に力が抜けて、愛おしさも相まってついつい笑ってしまったのだ。
ここから(最初から?)全く誰得でもない詳細です。悪しからず。
おしり単体でみるとそんなに小さくはないのだが、全体的なバランスで見た時になんだか絶妙にぽてっとしていて、キュートなのだ。
そんなところにいたのか君は!という奥ゆかしさ。
その日から、わたしは彼のおしりのファンになった。
ふと気づけば彼ではなく、彼のおしりを目で追っている。
ふだんは某ベーカリーでマネージャー(店を取り仕切る人)をしているので、ジーンズを履いている。てきぱきと他の店員に指示を出したり、経営者と連絡を取り合ったりしているのを見ると、頼りになる男らしい店長感がある。
でもわたしは知っている。ジーンズの下にあいつがいることを。
昔のわたしは、野球選手のようなザ・ぷりケツ!にときめいていた。
あの時のリアクションが「はぁ~かっこいい(ピンクのため息)」ならば、
ロキオのおしりを見た時のわたしは「・・・(キュ、、キュン)!!」といったところか。
女はとことんギャップに弱い。
わたしはもう王道のぷりケツよりも奥ゆかしい小尻に心を奪われてしまっている。
まあ結婚している今、これくらいフィルターがかかっている方が今後ともいろいろと都合がいいので、よしとする。
暴走しすぎた。
本人は自分のおしりがこんなところに晒されているとは思ってもみないだろう。
彼が日本語を「読める」段階になるまでにはまだまだ時間が必要だろうから、今すぐに怒られることはない。よし。
これからも密かに彼の小尻を愛し続けていく所存。
PS.ちなみに今年7月、彼の妹も同じタイプのおしりを所有していることが判明(黒川温泉にて)。やっぱりおしりもDNAかーと思いましたとさ。
次回はもっとまじめに書きます。
(ぬけがら)
国際結婚=人生バラ色、という幻想
ロキオと結婚して2年半が経とうとしているが、以前からずっと不思議に思っていることがある。
それは、
「国際結婚するのが夢なんです、旦那さんとはどうやって出会ったんですか?」
としきりに聞いてくる女の子たちの存在である。
これまで何度となく同じことを言われた。つい1週間前にもたまたまイベントで会った若い女の子に言われた。
こういう時、わたしは返答に困ってしまう。そして思う。
あなたはほんとうに「国際結婚」がしたいのだろうか?
国際結婚をすれば幸せになれる!とか勝ち組になれる!と思い込み、国際結婚に憧れる女子は無数にいる。
今日はそんな夢見る女子たちに言いたい。
「国際結婚」はあなたを幸せにしてくれる道具ではない。
それは人生における選択のひとつであり、手段である。
国際結婚することと、あなたが生涯幸せに暮らすことは全く関係がない。
幸せを自ら構築するために、それを選択することはあっても。
よくよく掘りかえしてみると、結局みんな求めているものは結婚でも外国人と付き合うことでもない。
みんながほしいもの。
それは「ずっと幸せでいること」。
そしてその幸せは「国際結婚」や「お金」や「地位」などの、本来何かの手段や結果に過ぎないものによって決まるわけではない。
それは幸せでありたいという意志と、それを構築するための姿勢と努力、そしてそれを継続することによってようやく手に入るものなのだ。
わたしは今の夫を「外国人だから」「英語ネイティブだから」「カナダに住めるから」という外付け要素で選んでいない。
ただ単純に、彼といると幸せだから。ほんとにそれだけ。
そして「彼が」わたしを幸せにしてくれるという意識ではなくて、わたしも彼も、お互いが2人の幸せのために同じ方向を向いて歩き続けているからこそ、今こうやっていい関係が築けている。
国際結婚をどうしてもしたいあなたへ。
それはなぜですか。
国際結婚をすることによってあなたが得たいものはなんでしょう。
それが手に入れば、100%幸せになれる自信はありますか。
あなたにとって外国人と付き合うこと、海外に住むことのメリットはなんでしょう。
それはほんとうに、国際結婚でしか叶えられないことですか。
自分にもう一度問うてほしい。
そしてもうひとつ。
国際結婚できなくても、外国人と付き合えなくても、そんなことはあなたの価値とは全く関係がないから安心してほしい。
違う手段で幸せを選べばいいだけだから。
国際結婚=人生バラ色。
そんな幻想から、みんながはやく解き放たれますよう。
ロキオといういきもの
ロキオはカナダ生まれカナダ育ち。
わたしは日本生まれ日本育ち。
わたしたちは3年半ほど前に出会った。
ロキオは大きい。とにかく大きい。
真冬にフラペチーノをガブガブ飲む。
好きな日本食はチキン南蛮、ラーメン。うに。小魚の佃煮、柚子胡椒、そうめん。わさび味のふりかけ。
ロキオは優しい。
わたしにも、家族にも。
友人にも、道端の困った人にも。
家に人を呼んで、手料理をみんなに振る舞うのが好きだ。
ロキオはやわらかい。
ぬいぐるみよりというよりはおもちに近い。
ぎゅーっとされると、わたしとロキオの間の隙間という隙間がぜんぶなくなるんじゃないかとおもうくらい、やわらかい。
ロキオは、時に凛々しい。
そういう時は、まゆげでわかる。
キリッという効果音が似合う。何かを守ろうとするとき、ロキオは凛々しくなる。
ロキオはわたしの旦那さんだ。
旦那だけど、親友のようでもある。
遠い惑星から来たのかと思うほど突拍子もないことをつぶやく日もあれば、子犬のような目でこちらを見ている日もある。
このブログでは、わたしが日々ロキオという未知の生物を観察して気づいたこと、彼との関係を通して国際結婚やパートナーシップについて思うことをシェアできたらと思う。
末永くお付き合いを。
おしまい。